EX03 35歳独身、賃貸と持家で将来はどう変わる?実際にシミュレーションして比較してみた
今回は「35歳独身、今後は一人で暮らす予定」という人が、このまま賃貸に住み続ける場合と、持家を購入する場合を比較してみました。賃貸と持家のどちらが正解というものではなく、同じ人生条件でも住居の選び方によって、現役中と老後の収支・資産の動きがどう変わってくるのかを見ていきます。
銀行口座の残高は、35歳現在で0円という設定からスタートします。
(2)収入 本人のキャリア
本人の働き方は、35歳から60歳まで千代田区に勤務し、60歳で退職したあとの61歳から64歳までは収入なし、という想定にしました。
(2)老後シミュレーション 年金
65歳から年金を受給する想定です。年間年金額は入力した勤務条件から自動計算され、今回は老齢基礎年金と共済年金(報酬比例部分)を合わせて年間約221万円という結果になりました。
(3)支出 生活費(食費・趣味娯楽)
生活費は、35歳現在のデフォルト値をベースに、今回のシナリオに合わせて一部を手入力で変更しました。食費はデフォルトの月3万円から月5万円へ、趣味娯楽はデフォルトの月1万円から月4万円へ、それぞれ増額しています。デフォルト値が実態に合っていないということではなく、今回はこうした生活を想定して金額を変更した、という位置付けです。
(3)支出 住居費(賃貸のケース)
まずは、35歳から賃貸住宅に住み続けるケースです。家賃は月10万円で固定しています。実際には、そのときどきの生活状況に応じて家賃の異なる住居へ転居することも考えられますが、今回は持家ケースとの比較をしやすくするため、賃貸金額を固定して計算しています。
シミュレーション結果(賃貸の場合)
この条件でシミュレーションすると、現役中は支出に対して収入に余裕があるため、総資産(貯金)は右肩上がりに増えていきます。60歳で退職したあとの61歳から65歳までは収入がないため、貯金を切り崩す期間になります。65歳から年金を受給できますが、年金額だけでは生活費等をまかないきれず、不足分を貯金から補う形になります。例えば75歳時点(2066年度)では、年間収入約221万円に対して年間支出は約302万円となり、単年度収支は約▲81万円、総資産は約6,222万円まで少しずつ減っていく見込みです。
ただし、これはあくまで今回の設定によるシミュレーションです。実際には、現役中に形成した資産の一部を資産運用に回したり、ある程度の年齢から月単位で計画的に取り崩したりすることで、年度ごとの収支をより安定させるという方法も考えられます(資産運用をすれば必ず収支が改善するというものではない点にはご注意ください)。
(3)支出 住居費(持家を購入するケース)
次に、持家を購入するケースと比較してみます。40歳で持家を購入し、住宅価格は3,500万円(頭金1,000万円+借入額2,500万円)、金利年1.6%・返済期間20年の住宅ローンを組み、維持管理費と固定資産税を合わせて月3万円かかる想定にしました。
これらの金額は、あくまで今回のシミュレーション上の仮定です。住宅価格・金利・維持費の水準として一般的、またはおすすめといった意味ではありません。
シミュレーション結果(持家の場合)
持家を購入すると、ローン返済期間中(40〜59歳)は現役中の支出が賃貸ケースより多くなります。一方で、ローン完済後は住宅ローンの返済がなくなるため、年金受給中の生活では住居関連の支出が抑えられます。例えば同じ75歳時点(2066年度)で比べると、持家ケースの年間支出は約220万円・単年度収支はほぼ均衡(約+2万円)となっており、賃貸ケースの単年度収支約▲81万円と比べて、老後の収支が安定しやすいことが見て取れます。このように、賃貸と持家では「現役中の支出」と「老後の支出」の出方が異なるという特徴が、今回の比較から確認できます。
賃貸のメリットと考えておきたいこと
今回の比較から見えてくる賃貸のメリットとしては、現役中に住みたいエリアや家賃を選びやすいこと、生活状況の変化に応じて住まいを変えやすいこと、住宅購入のようなまとまった初期資金を必要としないこと、家賃の設定次第で現役中の支出を調整しやすいこと、などが挙げられます。
一方で、老後になっても家賃負担が続くため、老後の収支をあらかじめ考えておく必要があります。また、高齢になったときの賃貸契約の更新や転居について考えておくことも大切です(年齢だけを理由に必ず賃貸を借りられなくなる、というわけではありませんが、備えとして意識しておきたいポイントです)。
持家のメリットと考えておきたいこと
持家のメリットとしては、ローン完済後は住宅ローンの負担がなくなり、老後の住居費を抑えやすいこと、長期的に安定した住まいを確保できること、などが挙げられます。
一方で、現役中はローンの返済負担が大きくなります。この負担の大きさは、金利・返済期間・借入金額・頭金の額によって変わります。また、万が一収入が減少したり途絶えたりした場合には、住宅ローンの返済が家計上のリスクになり得る点にも注意が必要です。
今回の入力内容
- 前提:35歳独身、今後は一人で暮らす予定(35歳時点の銀行口座残高は0円)
- 収入:35〜60歳は千代田区に勤務、60〜64歳は収入なし、65歳から年金受給(年間約221万円)
- 支出:生活費は食費月5万円・趣味娯楽月4万円へ変更。住居費は賃貸(家賃月10万円で固定)と持家(40歳購入、頭金1,000万円・借入2,500万円・金利1.6%・20年返済、維持管理費等月3万円)の2ケースを比較
- 賃貸と持家のどちらが正しいというものではなく、現役中に生まれる余裕をどう資産形成に回すか、賃貸なら老後の住居費をどう準備するか、持家なら無理のない購入価格・借入額・返済期間にすること、老後まで含めて住居費を考えることなどを検討するきっかけとして参考にしてみてください。
- このシミュレーションは、入力した条件に基づいて長期的なお金の流れの傾向を確認するためのものであり、将来を保証するものではありません。住宅購入・住宅ローン・資産運用・年金など、実際の判断に関わる内容を含むため、具体的に検討する際は金融機関・FP・税理士・社会保険労務士等の専門家にもご相談ください。